キジトラのシニア猫、モコちゃん。そして、Instagramで開催された「ぷりけつ選手権」で見事に優勝した短尾の白猫コトちゃん。ともにInstagramやTwitteを通じて多くのファンがいるmaiさんが家族として迎えた元ノラ猫です。モコちゃんは大学時代のバイト先で出会って以来、18年間連れ添う仲。コトちゃんはInstagramで出会った保護主さんの元から迎えた猫。もともとは静岡県内の廃墟にいたそうです。

 

そんな2匹の猫と暮らすmaiさんは、自身も、近所で生まれたノラの子猫を自ら保護したり、保護した方から猫を預かりながら、SNSを通じて譲渡につなげる活動を行なっています。保護猫たちとの出会いを「奇跡の連続」と呼ぶmaiさん。活動について、ご本人にインタビューしました(合間にコトちゃんのおしりを激写)

 

コトちゃん。プリッとたくましいおしり。短尾の猫はバランスをとるために後ろ足の筋肉が発達しやすい

 

「猫との出会いは、奇跡の連続」

 

――まず、保護猫活動を始めたのはいつからですか?

 

mai   『コトのおちり』(2015年12月1日発行/扶桑社)執筆の半年ほどくらい前なので、始めて3年くらい。子猫がいれば保護をして、母猫にはTNR(※)を施しています。最初に保護したのは、5匹のキジトラのきょうだい子猫です。すごく可愛くって。今でもみんなよく覚えています。飼い主さんもみんなインスタしているし。

※ノラ猫の繁殖を防ぐため、捕獲器で捕まえ(Trap)、避妊・去勢手術を施し(Neuter)、もといた場所に戻して(Return)、地域猫として見守る取り組みのこと

 

近所に餌やりさんがいっぱいいてノラ猫が増えていたので、ずっとなんとかしなくてはと思っていたんですよね。可愛くない猫なんか見たことない。それが殺処分されているなんて。5匹が近所で生まれたときに「死なせるわけにはいかない!」と、保護を決行することにしました。今ならインスタのフォロワーさんも増えてきているし、保護した猫を投稿で紹介すれば里親さんが見つかるかも?という期待もあって。

 

 

――SNSを通じて、これまで譲渡した猫は?

 

mai   42匹です(取材日時点)。保護したり、預かった順番に関連した名前を付けているんです。41猫目は「やよい」ちゃん、42猫目は「ヨット」くん。名前を考えるのも楽しいです。

 

モコちゃん

 

「奇跡の連続は、余計に可愛い!」

 

――保護猫たちは、maiさんにとってどんな存在でしょうか?

 

mai   心臓をわしづかみにされる存在です。よく生きててくれたなと。生きててくれるだけでいい。少しずつ心を開いてくれるのが、可愛くてたまらない。ある日、スリッとしてくれると心臓が痛くなる。

 

昨日は初めて乳飲み子を預かってお世話をしました。まだ小さいですが、ここまで大きくなれたことに泣きたくなった。夜中も3時間おきの授乳が必要だけど、ちゃんと生きているか心配で1時間おきに目が覚めてしまいました。

 

「みんなうちの子になればいいのに!」て、今でも本当にそう思います。雑種の猫たちって奇跡の連続ですよね。そして奇跡の連続は、余計に可愛い! お母さんのおっぱい吸っていたのが、たまたまうちに来ることになって。

 

 

“猫バカ親子”で始めた、ザビエル首輪づくり

 

――今、コトちゃんとモコちゃんも付けている手作りの「ザビエル首輪」。販売するようになった経緯は?

 

mai   猫たちの保護・譲渡にかかる費用を補うためで、お父さん・お母さん・私の”猫バカ親子”の共同作業で始めました。まず、理系のお父さんが型紙づくり。どうやったら猫に負担がかからず、ふわっときれいに広がって見えるかを計算しながら作ってくれました。生地選びと、仕上げに飾りボタンを縫い付けるのは私が担当。生地は、繊維街を歩き回って選んでいます。

 

制作は私のお母さんがひとりでしていましたが、需要に生産が追いつかなくなって。そんな折、イベントで「instagramを見て協力したい」という方がいらっしゃって、その方達にもお願いすることに。「無償で」と申し出ていただいたのですが、継続的にいいものを販売したい想いから、点数に応じた制作費を受け取っていただいています。

 

ザビエルの数が揃ってから期間限定でWebショップで販売しますが、その日に完売してしまうことがほとんどです。最近では、友人が保護して家に迎えた猫がガンにかかり、抗がん剤治療費を支援するために販売しました。いつもよりも寄付金500円を上乗せしたのに、ありがたいことにすぐに売り切れてしまいました。

 

コトちゃんパネルとザビエル首輪。ゴムがゆるいので、首輪慣れしていない保護猫でも抵抗なく付けてくれやすいそうです

 

――ザビエル首輪はどんな猫の毛色にも映えて、可愛く見える。「写真映え」も意識しているんでしょうか?

 

mai   そうですね。保護猫を譲渡につなげるためには、可愛く写真を撮ってあげることは重要ですよね。ただ私の場合は、遊びながらだったり、自然な表情を撮るようにしています。演出がこなれた可愛さやきれいさよりも、その猫ならではの様子が伝わるように。

 

 

コトちゃんも、保護猫たちをお世話

 

――保護した猫を家に対するコトちゃん、モコちゃんの反応は?

 

mai   モコは18才になりますが、嫌がったりせず、若い猫たちに囲まれて若返っているような気がします! コトは必ず「シャー」。でも、本人にとっては挨拶みたいなものなのか、数日もするとお世話してくれる。丁寧に毛づくろいしてあげたり、出ないおっぱいを吸わせてあげたり。でも子猫たちを譲渡してうちからいなくなると甘えてきて。いまだに私の耳たぶ吸うんですよ(笑)。

 

28猫目のふたばちゃん(現在はねねちゃん)を抱きしめるコトちゃん(写真提供:maiさん)

 

30猫目のたみおちゃんと見つめ合う(写真提供:maiさん)

 

 

――今後も活動は続けていきますか?

 

mai   やります! もちろん! 保護が必要な猫がいる限り。保護活動は楽しくてしょうがない。自称「猫変態」ですから。譲渡に時間がかかりそうなおとなの猫だろうが、あたり前に拾ってくる。猫のすべてを受け入れる。いっしょにいさせていただく、という感覚です。これを読んでいて気になっている外猫がいる方がいましたら、後悔する前に「猫変態」の輪に加わっていただけたら嬉しいです。

 

 

(文・写真/本木文恵

取材日:2018年6月1日

 

 

 

 

 

 

 

mai(まい)

instagramの「ぷりけつ選手権」で優勝した猫のコトちゃん(5才)と、シニア猫のモコちゃん(18才)と暮らす。猫バカ家族、猫変態友達に囲まれている、猫中毒者。ノラ猫を保護・譲渡する活動のために「ザビエル首輪」を製作している。

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