人とともに家の中で穏やかに暮らす猫たちを撮影する「出張いえねこ写真家」のtomoさん。2011年末から始めたinstagram(アカウント名:@tomochunbaは、フォロワー数26万人を超えています。もともとは、保護と同時に先天性の心疾患が判明し「余命半年」と告げられたオスの茶白の猫「こむぎ」くんとの日々を綴ってきました。

 

余命を大きく超え、4才8カ月まで生き続けたこむぎくんとの別れ。それから1年を過ぎた2017年の夏に、1匹のメスの黒猫と出会ったそうです。名前は「ごま味(ごまみ)」ちゃん。再び弱っている猫と出会い、ともに暮らし、写真を介して日常を伝えていく――。日々の暮らしの中で、今、どんなことを感じているのか、語っていただきました。

 

――ごま味ちゃんも、こむぎくんと同じく、tomoさん自身が保護した猫ですよね。どんな風に出会いましたか?

 

tomo  ごまちゃん(ごま味ちゃんの愛称)に出会ったのは真夜中。一方通行の細道を車で通りかかったところ、道路の真ん中にポツンと黒い影が見えました。「まさか、猫じゃないよなぁ」と思いながらも車を停めて近づくと、やっぱり真っ黒な子猫。動かずじっとしていたので、すでにほかの車にはねられてしまった後では……と不安で、急いで自宅に連れて帰りました。幸いケガはありませんでしたが弱っている様子で、片目は目やにでぐちゃぐちゃ。放置すると失明しかねないと思い、水でふやかしながらそっと拭きました。

 

翌日、病院へ連れていくと、猫カゼの診断でした。ノミも付いていて、数日後にはおしりから瓜実条虫(サナダムシ)がたくさん。飲み薬と目薬の生活が続きました。

 

保護した翌朝のごま味ちゃん

あのまま道端にいたら、交通事故に遭ったり、病気が悪化したりして亡くなっていたかもしれません。夜中に黒猫が道路の真ん中で寝ているなんて……今でも考えるだけでヒヤッとします。あの日、あの時間に出かけて本当によかったです。「あぁ、こむぎがこの子を私のところへ導いたんだなぁ」と思いました。「この時間にこの場所に行ったらtomoに見つけてもらえるよ」ってこむぎに教えてもらって、タイミングを見計らって道路の真ん中にいたのかな……?と。

 

 

――「ごま味」ちゃん。どんな想いで付けた名前でしょうか?

 

tomo  保護当時は実家暮らしでペット不可だったので、病院で診てもらったら新しい飼い主さんを募集するつもりでした。そこで、仮の呼び名として考えたのが「黒ごま」。猫に食べ物の名前を付けると長生きするというジンクスを知人から聞いて、黒猫の見た目から。なおかつ、新しい飼い主さんが名前を変更しやすいようにシンプルに。

 

でも、結局、私が飼い主になりました。じつは、ごまちゃんと私をいっしょにお嫁にもらってくれる貴重な人物が現れまして(笑)。「ごまちゃんといっしょに暮らそう」というプロポーズをもらって入籍することになり、猫と暮らせる準備が整ったので、名前を呼びやすい3文字に変更しました。女の子なので単純に「ごまみ」。「ごま美」だと私の本名と一文字被ってしまうので、変化を入れて「ごま味」に。「味」と付けたからか、すごく食いしん坊な子に育ってしまって。ごまちゃんの食欲のすごさに驚きつつも、笑いの絶えない毎日を過ごさせてもらっています。

 

新しい家に引っ越ししてからも、のびのび快適に過ごしてくれているようでホッとしています。こむぎお兄ちゃんと走りまわっているかな?と思うときもあります。歴代の猫たちは、みんなが1番であって、私にとってかけがえのない存在です。

 

 

――淡い小麦色をしたこむぎくんとは対照的な真っ黒なごま味ちゃん。instagramに写真をアップするうえで感じていることは?

 

tomo  わが家に真っ黒な毛色の子がやってきたのも、意味があるんじゃないかと思っています。昨今、「インスタ映え」という言葉がペットの写真についても使われているのを目にすることがあります。とくに海外では「黒猫は写真に撮りにくいから」と、写真映えしないことを理由に敬遠されて新たに迎える人が少ないと、ちょうどごまちゃんがわが家にやってきた頃にそんな話が耳に入りました。

 

でも、「黒猫は写真を撮っても目しか見えない」……って、それがまた可愛い!ですよね。ごまちゃんの写真を撮り続けることで、黒猫ならではの魅力をたくさんの方に伝えていきたいです。ただ“親バカ”が爆発しているだけかもしれませんが(笑)。どんな毛色の猫だって可愛いんだと、私が責任を持って保証いたします!

 

(文/本木文恵

※写真はすべてtomoさん提供

 

tomo(とも)

写真家。2011年末からinstagramに愛猫「こむぎ」の写真を投稿。その世界観と、こむぎの可愛らしさが日本国内のみならず海外でも人気を博す。こむぎが亡くなった現在は、写真で猫と人を繋げるために「出張いえねこ写真家」として活動する。著書に『こむぎねこ』(主婦の友社)、『こむぎといつまでも』(小学館)公式HP:「mugiiro 出張いえねこ写真撮影byこむぎねこ」

*instagram→@tomochunba 

*twitter→@comugineko

 
※tomoさんが「出張いえねこ写真家」としての活動に込めた想いは、『保護ねこのきもち』(発行:ベネッセコーポレーション)でのインタビューでもお聞かせいただきました。ぜひ併せてお読みくださいませ!
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