一般社団法人LOVE & Co.(ラブアンドコー) 。通称は、「ラブコ」。路上で行き場をなくした猫たちをレスキューし、新しい飼い主さんとの出会いをつないでいる保護団体です。

猫を保護し譲渡するまでには、時間もお金もかかることが多く、精神的にも体力的にもハード。でも、そんな“キツイ”活動も、LOVE & Co.が関わると、どこか明るく、楽しい。そして、支援者も次々と集まっています。

――始まりは、1杯のコーヒーから。

東京都世田谷区にあるオフィス兼シェルター(猫たちを保護し、一時的に収容するスペースのこと)を訪問し、代表理事の今村友美さんにLOVE & Co.が目指すものをお聞きしました。

 

 

――シェルター内、開放的で明るいですね。猫たちも思い想いの場所で、のびのび過ごしています。

 

今村 創立当初に犬を1匹保護しましたが、今は猫のみで11匹。シェルターの運営にあたっては、「5つの自由(※)」を守って、1匹1匹が快適に過ごせることを大前提にしています。

※「5つの自由」…The Five Freedoms for Animal。1960年代にイギリスで提唱された、家畜に対する動物福祉の理念です。「飢えや渇きからの自由」「不快からの自由」「痛みや外傷、病気からの自由」「本来の行動ができる自由」「恐怖や苦痛からの自由」の5つ。現在はペットを含む、人が管理するすべての動物に対して与えられなければならないものとして、国際的に認められています。

 

ベースには私が個人で行っていた保護猫活動があります。猫同士の関係性や病気の有無によりますが、私ともう1人の矢沢(苑子さん)とで、今の約18坪のシェルターでお世話するなら、10〜15匹くらいまでかなと。あとは私の自宅に5匹、一時預かりボランティアさんのもとに6匹。

 

収容する猫の匹数を増やしたり、規模を拡大するよりも、「保護猫の魅力を積極的に発信する」ことに重きを置いています。

 

シェルターの人気者「演歌」とうちゃん。飼い主さん募集中(18年5月15日時点)

 

――LOVE & Co.といえば、おしゃれな猫パッケージのコーヒー「LOVE ME COFFEE」が有名です。

 

今村 「コーヒーで犬猫たちを支援する」というのは、以前在籍していたBuddyという会社の一事業として立ち上げたものですが、2016年にLOVE & Co.としてリスタートしました。LOVE ME COFFEEやオリジナルのグッズを販売し、購入いただいた利益をシェルター運営費や猫たちの医療費に。寄付だけに頼らないことで、長期的に持続できるソーシャルビジネスを目指しています。

 

 

――どちらで購入できますか?

 

今村 コーヒーもグッズも公式オンライショップ「LOVE ME SHOP」と、毎週日曜日に開催している譲渡会「OPEN LOVE & Co.」を中心に販売しています。

 

コーヒーは、三軒茶屋にある保護猫がいる書店「Cat’s Meow Books」さん(東京都世田谷区若林1-6-15)でもお取り扱いがあり、店内で飲んでいただけます。保護猫たちのいる空間で、猫に関する本を読んだりしながら。Cat’s Meow Booksさんは、お店の売り上げの10%を保護団体への寄付に充てていて、LOVE & Co.も支援してくださっているんです。

 

ドリップコーヒー1杯で1日分のフード代、30杯で基本の3種混合ワクチン1回分の寄付に

 

――コーヒーとグッズの種類の多さに驚きました。思わず手に取りたくなる、おしゃれなデザイン。イラストも含めて、すべて今村さんご自身が手がけているとか。

 

今村 もともと絵を描くのが趣味で(笑)。LOVE ME COFFEEのパッケージは、保護猫の顔写真にイラストを組み合わせています。写真とプロフィールだけでは伝えきれない保護猫たちの魅力を、グラフィックデザインの力で発信できたらと。きちんと美味しくて、おしゃれに。人に贈りたくなる商品をお届けし、広め続けることで、猫たちの命をつなげていきたいです。

 

パッケージのキャラクターは、これまで譲渡した猫たちも含めて、LOVE & Co.で保護した猫たち全匹をモデルにしています。譲渡希望者を募集するための猫の紹介も兼ねているんです。

 

パッケージ一つひとつ、今村さんがデザイン

 

今村さん個人が立ち上げたブランド「UKIKI STORE」の陶器。イラストを今村さんが手描きした1点もの

 

――パッケージには、猫の名前のハッシュタグが付いていますね。

 

今村 同じハッシュタグをつけて、InstagramなどのSNSで写真を随時アップしています。1匹1匹が認知されて、「応援したい」と思ってもらえれば、その猫がモデルのコーヒーを買っていただきやすいですし、猫の人気が上がれば、譲渡にもつながりやすくなります。

 

今LOVE & Co.にいるのは、ほとんどおとなの猫なんです。子猫が欲しいという欲求は、ペットショップから猫を迎えるというルート選択にもつながってしまいますので、おとな猫たちの魅力を伝えていきたいです。

 

「保護団体の”ちょっと怖そう”な印象を払拭したい。楽しみながら関わっていただけたら」

 

――LOVE & Co.から猫を迎えたいと思ったら、どうすればいいでしょうか?

 

今村 譲渡会「OPEN LOVE & Co.」にお越しください。毎週日曜日12〜16時に、等々力のシェルターで開催しています。

 

また、今どんな猫がいるのかというお問い合わせには、Instagram見ていただけたらというお願いをしています。公式サイトでも譲渡対象の猫を紹介していますが、更新が追いつかないこともあって…。Instagramのフォロワーの方は、保護猫1匹1匹の「ストーリー」を追いかけてくださっています。「この猫は怖がり」「この猫は人懐っこいけどほかの猫が苦手」「猫エイズのキャリア」など、特徴を理解し、そのうえで譲渡を希望しに会いに来てくださる方がたくさんいらっしゃって、とてもありがたいです。

 

 

――セミナーやワークショップも、頻繁に開催していらっしゃいますね。

 

今村 ほとんど毎週土曜日、開催しています。ペット信託やアニマルコミュニケーションなどペットに関する座学もあれば、ヨガ、花材を使ったクラフトの講座など、講師も内容もばらばらです。興味があるセミナーやワークショップをきっかけに、気軽にシェルターを訪れてほしくて。個人で猫を保護したい人をアシストする講座も、時折開催しています。

 

「動物の保護団体」というと、それだけですこし怖い印象だったり、関わりにくさを感じる方もおそらくいると思います。LOVE & Co.では、そのイメージを払拭したいんです。こんなふつうの人間でも動物愛護に関われるんだって、知ってもらえたら(笑)。そして楽しみながら、保護猫の魅力を知っていただけたら嬉しいです。

 

 

(文・撮影/本木文恵) 

取材日:2018年4月24日

 

 

一般社団法人 LOVE & Co.  (ラブアンドコー)

2016年3月設立。代表理事でデザイナーの今村友美さん、理事でディレクターの矢沢苑子さんの2人で活動。飼い主のいない犬猫の保護・譲渡活動を行いながら、里親募集を兼ねたコーヒーや雑貨を販売し、さまざまなワークショップを展開しています。フォスター(一時預かり)、商品づくり、朝の掃除などを手伝うボランティアは、100人以上が登録。

公式HP: http://love-and-co.net/

*instagram→@loveandco_coffee  

*twitter→@loveandco_

 

★譲渡会「OPEN LOVE & Co.」は、毎週日曜日12〜16時開催

東京都世田谷区等々力7-9-7 ISSOビル3F 東急田園都市線等々力駅または尾山台駅より徒歩10分