今国会中にも行われる動物愛護法(正式には、動物の愛護及び管理に関する法律)の改正に向けて、2019年3月19日、衆議院第一議員会館で「8週齢規制、各種数値規制、繁殖業の許可制を求める緊急院内集会」が開催されました(集会名にある用語は下で解説します!)。

 

浅田美代子さん(女優)、世良公則さん(ミュージシャン)、藤野真紀子さん(元衆議院議員、料理研究家)、山路徹さん(ジャーナリスト)、湯川れい子さん(音楽評論家)、塩村あやかさん(元東京都議会議員)らの呼びかけ人と、牧原秀樹衆議院議員(自由民主党)、福島みずほ参議院議員(社会民主党)をはじめ超党派(※)による「犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟」の国会議員らが出席。各々が、法改正に向けての想いを表明しました。

※超党派…与野党の利害を超えて関係者が協力し合って結成

 

本稿では、中盤、追い風のように颯爽と登場したゲスト、YouTuberの「せやろがいおじさん」こと、お笑いコンビ「リップサービス」のツッコミ担当・榎森耕助さんの発言シーンをレポートします。

 

榎森耕助さん。沖縄県の芸能事務所「オリジンコーポレーション」所属

 

「目的地見えているのに、渋滞で全然進まへんときみたい」

 

榎森さんは、発起人のひとりである世良公則さんの招待で参加。「ネット上で発信するメッセージに感銘を受けて」と紹介を受けながら、傍聴していた一般席から登場しました。

 

おなじみのふんどし姿は、世良さんのリクエスト

 

社会問題など時事性の高い話題に対する自分なりの考えを、美しい沖縄の海から叫び、数分の動画に投稿する。その理由を、「みなさんの知るきっかけとして僕が機能すればいいなと思って、いろんな問題を扱っている」と話します。

 

実家には、「母がどんどん保護する」という猫が複数匹。帰省するといっしょに戯れ、「可愛いなという気持ちもわかるので」。集会参加前の下調べをしているうちに、虐げられる犬猫たちの悲惨な動画や画像を目にしたそうです。

 

「たぶん日本中に住んでいる方で、あの動画を見て、このままでいいっていう人、ひとりもいないと思うんですよ。で、『みんなでこの状況を変えようぜ!』と、これだけの影響力がある方や議員さんがガッとやっているにも関わらず、なかなか進まないと。なんか僕、目的地見えているのに、渋滞で全然進まへんときみたいな気持ちになって。こんなに進まんもんかということを思いました」

 

「何、過去から探して新しいこと作ろうとしているの?」

 

「今日“一番くだらない”と感じた」ことは、生方幸夫衆議院議員(立憲民主党)が、実際にあったと話す反対派のエピソード。生方議員が改正法に入れたいと主張した「動物福祉」に対し、「福祉という言葉は人にしか使ったことがなく、動物に対しての使用例がない」という意見が上がった、という内容でした。

 

「いやいやいや! 過去と今が最悪だから変えようと言っているのに、何、過去から探して新しいこと作ろうとしているの?と思うわけです」

 

変えていくためにできることとは? 榎森さんは、生体販売をやめる表明をした、沖縄県内のペットショップ「ペットボックス」を例にあげます(参考:沖縄タイムス「犬猫の販売やめます」ペットショップの決断 企業理念との葛藤あった」)。

 

「そういうところをものすごく応援したり、支持したりすることも、何かひとつ、みなさんに知っていただけるきっかけになるのかなと」。

 

ニュースで取り上げられ、SNSでも広くシェアされる猫に対する虐待事件にも触れ、集会で感じたことを動画で発信したいと決意表明。

 

『ひどいやつだな〜こいつ〜』と思ったんですけど、この社会を野放しにしているということは、共犯だと。あいつと僕とも変わらないと思ったら、絶対に変えないといけないと。僕も僕なりにできることをやっていきたいので。なので、みなさんいっしょに頑張っていけたらなと思います。……ね、こんなかっこでマジなこと言われても、というのはあると思うんですけど……よろしくお願いいたします!」

 

*twitter→せやろがいおじさんA.K.A えもやん

*YouTube→ワラしがみ

 

国会議員席

 

集会後の記念撮影

 

「8週齢規制」「各種数値規制」「繁殖業の許可制」を解説!

 

「動物の愛護及び管理に関する法律」は、2018年の通常国会で改正予定でしたが、検討に時間がかかり、1年遅れて今国会中に改正が見込まれています。

 

今回の集会が開催された背景にあるのは、前回の改正から度々議論に上がっていて、呼びかけ人らが “最低限実現したい”とする3つのポイント「8週齢規制」「各種数値規制」「繁殖業の許可制」が改正法に盛り込まれない可能性がある、という懸念です。

 

いずれも悪質な繁殖業者&ペットショップを取り締まる上で大きな意味を持っています。

 

  • 8週齢規制

現行は、親兄弟からの引き離しは「49日経過してから」という規制です。しかし、生後56〜62日に満たない子犬・子猫を生まれた環境から引き離すと、適切に「社会化」がされず、人に対して噛む・引っかくなどの攻撃行動を起こしやすくなります。こうした問題行動や、母猫から受け継いだ免疫力が弱まる期間に流通にのることで病死するリスクを避けるためにも、週齢の規制が必要とされています。(猫の行動学の視点からまたじっくり書きたい!)

 

  • 各種数値規制

生涯の繁殖上限回数や、上限年齢、飼育施設の広さや高さ、管理者ひとりあたりの飼育可能数など、具体的な数値の規制を改正法に盛り込むことで、悪質な犬猫の販売業者への監視・指導を行えるようにするもの。たとえばペットショップのバックヤードで8週齢になるまで箱に入れられて積まれるといった事態を回避するためにも、8週齢規制とセットでの実現が求められています。

 

  • 繁殖業の許可制

現行は、繁殖業の「登録制」。純血種がかかりやすい遺伝性疾患を予防する専門的な知識を有していなくても、必要な書類を提出すれば繁殖業を営むことができてしまいます。子犬や子猫の健康が適切に管理されるようにするため、自治体の審査を経て認められるようにする「許可制」の導入が望まれています。

 

取材日:2019年3月19日(本稿は、榎森さんご本人の許可をとって掲載しています)

(文・撮影/本木文恵