奄美大島の生態系保全を目的に、環境省・鹿児島県・奄美大島5市町村が共同で行う「奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画」。この計画に基づいて捕獲された猫を新しい飼い主さんのもとへつなげるための「譲渡要領」が、2019年10月23日に改定。譲渡条件が緩和されました。

 

個人で猫の譲渡認定を受けるまでは、以前、「奄美大島のノネコ管理計画 個人でノネコの譲渡認定者になるには?」(朝日新聞sippo)という記事でまとめましたが、変更点をふまえて譲渡に至るまでの流れを整理していきます。

 

紹介するのは、「個人が直接、終生飼養する猫を迎えたい場合」の流れです。ノネコセンターから引き出した猫を譲渡につなげている認定団体・個人から迎えたい場合は、各団体・個人の飼い主さん募集の情報をご覧ください。

*例:認定団体の一つ「ねりまねこ」さんの募集情報はこちら から(※←奄美の猫以外も掲載されています)

 

 

 

【1】申請書類を提出し、審査を受ける

★改定:納税証明書・所得証明書の提出がなくなりました。

 

まず、下の書類を用意して「奄美大島ねこ対策協議会事務局」に提出します。奄美市役所または他4市町村の窓口へ持参、もしくは郵送します。

 

<書類>

  • 譲渡対象者認定申請書・誓約書(飼養者)・調査票

いずれも奄美市のサイトからダウンロードできます。

 

  • 顔写真入り身分証明書の写し

・免許証、マイナンバーカード、パスポートなど。いずれか1点をコピーします。

 

  • 顔写真3枚

近所にある証明写真機で撮影すればO K。

 

  • 飼育部屋概要・写真

概要は1枚の紙にまとめればO K。奄美市が掲載している例(pdf)。写真は必ず必要になります(部屋の全体像やケージの個数がわかるもの)。

 

<提出先>

●持参(奄美市の場合)→ 奄美市環境対策課(奄美市役所名瀬総合支所3階)午前9時から午後5時まで(土・日・祝日は除く)

●郵送→ 〒894-8555 鹿児島県奄美市名瀬幸町25番8号奄美市環境対策課内 奄美大島ねこ対策協議会宛

 

 

【2】譲渡認定のための講習会に参加する

★改定:譲渡前講習会の免除規定が加わりました。

 

譲渡認定にあたってはこれまで奄美大島のノネコセンターで講習会に参加する必要がありましたが、ほかの自治体の保健所・動物愛護センターで譲渡講習会を受講していることが証明されれば免除に。つまり、奄美大島への訪問なしでも譲渡認定まで可能になりました。ほかの自治体で講習を受ける場合、ノネコ管理計画に基づく捕獲猫特有の注意点に関しては資料等が送付されます。

 

*各地自体で開催の講習会は、環境省の「収容動物検索情報サイト」から検索できます。

 

●これから自治体の講習を受ける場合

→受講後、証明書のコピーと【1】の書類をまとめて申請します。あるいは【1】の書類申請後に受講し、発行してもらった証明書のコピーを追って提出してもOK

 

●すでに自治体の講習を受けた場合

→受講証明書の期限が過ぎていなければ、【1】の書類提出の際に、証明書のコピーを同封する

(※例:鹿児島県では、受講証明書の期限は3年)

 

●自治体で受講したが、証明書がない場合

→自治体へ相談のうえ発行してもらい、コピーを提出します。

 

●上記のいずれにも該当しない場合

→奄美大島のノネコセンターで、講習会を受講する必要があります。こちらの記事の「2) 奄美大島で譲渡認定のための講習を受ける」を参考にしてください。

 

 

【3】メールを見て、迎えたい猫を決める

 

講習会を受けて審査に通ったら「正式認定」に。その後、捕獲のたびに協議会事務局から届く「捕獲ねこ収容状況」のメールで、猫の写真と個体情報をチェックします。迎えたい猫がいたら、事務局へ伝えます。

 

●譲渡認定証(有効期限1年間。以降は更新が必要)は、正式認定後、郵送で届きます。

●ほかの自治体で講習会を受講した人は、事務局から確認・認定の可否を連絡(電話もしくはメール)のうえ、認定証の送付となります。

 

 

【4】迎えたい猫と対面する(マッチング)

マッチングの日程を決めたら、奄美大島のノネコセンターへ行き、迎えたい猫と対面。正式に引き取る場合、譲渡申請書の提出を行います。

 

●マッチングは原則、認定者自身で行いますが、どうしても奄美大島への訪問が難しい場合は、代理で行ってくれる委任者を立てて任せる方法もあります。

 

奄美大島のノネコセンター

 

 

【5】猫を空港に迎えに行く

マッチング後に、協議会で去勢・避妊手術、マイクロチップの装着を行うため、猫はその日に連れて帰りません。後日、空輸(現在はJALのみ)で運ばれてきた猫を空港まで迎えに行くことになります。

 

●空輸の日程を決めて航空会社に予約を取り、日程と時間を協議会事務局へ連絡します。

(※例:羽田空港への空輸は、直行便が1日1便、15:05発→17:10着です。奄美空港までは事務局の職員が猫を運んでくれるので、到着時間に羽田空港で引き取ります)

 

●希望があれば、引き渡し後に不妊・避妊手術、マイクロチップの装着を、任意の動物病院でもできるようになりました。その場合、原則、マッチング時にそのまま引き取ります(やむ得ない事情等でその日に引き取りできない場合は、原則、翌日から330円の飼育費がかかります)

 

●マイクロチップ装着費やその他検査代(希望があった場合)、空輸費は、譲渡対象者の負担になります。引き出し後に不妊・避妊手術を行う場合、その費用も譲渡対象者の負担。

 

 

【6】譲渡を受けてから、猫の様子を報告する

★改定:譲渡報告書の提出が削減されました。

 

家に迎えた猫の状況を、写真とテキストで報告します。テキストはメールにベタ打ち、写真を添付するだけでもO Kです。これまでは、譲渡1カ月後・2カ月後・6カ月後・1年後と複数回の提出が必要でしたが、「譲渡1カ月後」の1回のみに削減されました。

 

 

以上が、個人でノネコを家族として迎え入れるまでの流れです。

 

譲渡要項の改定にあたって、事務局からのコメントです(新聞社に寄せたものと同じ)。

「ネコ対策で一番必要なのは室内飼いの徹底。島内の方の意識改善がなければ、根本的な解決にはならない。譲渡先の増加が目標ではあるが、責任を持って飼える方にお願いしたい」

 

改定後、サイトに記載の内容に関する問い合わせも、多く寄せられているそうです。奄美市の「奄美大島における生態系保全のため捕獲したノネコ譲渡希望者の募集について」をご確認ください。

 

(文・撮影/本木文恵

 

平成30年度までの5市町村のTNR総数は3289頭(平成25〜29年度までは各5市町村でTNR。奄美市では平成30年度から鹿児島大学が協力)